声明・談話

安全保障法制を改定する法案に反対し、廃案を求める会長声明

2015年(平成27年)6月24日
和歌山弁護士会
会長 木村 義人

政府は、本年5月15日に新法である国際平和支援法案と自衛隊法・武力攻撃事態法・周辺事態法・国連PKO法などの安全保障法制の改正案(平和安全法制整備法案)を国会に上程し、現在、衆議院でこれらの法案の審議が行われている。

これらの法案を見ると、武力攻撃事態法と自衛隊法を改正して、昨年7月1日の閣議決定で集団的自衛権行使を認める新三要件を「存立危機事態」として追加して書き込み、わが国に対する武力攻撃がなくても自衛隊が海外に防衛出動をすることを可能としている。その結果、わが国への攻撃や日本人がテロの標的となる危険性を高めることになる。

また、周辺事態法を改正して周辺という地理的概念をなくして自衛隊を世界のどこへでも派遣できるようにし、さらに戦闘地域であっても現に戦闘が行われている現場以外は自衛隊の活動を可能としていることから、自衛隊員が戦闘に巻き込まれ、外国人を殺し、自衛隊員が殺される危険性は極めて高くなっている。

さらに、新設される国際平和支援法では、我が国に対する武力行使の危険性がない場合でも、「国際社会の平和及び安全を脅かす事態」と判断すれば、自衛隊を世界中のどこへでも派遣し、現に戦闘が行われている現場以外での外国軍隊への支援活動を可能とし、PKO法を改正して、治安維持活動や駆けつけ警護活動も行い、任務遂行のための武器使用も可能としている。このように自衛隊の外国における活動及び武器使用の場面は際限なく拡大することになる。

そして、これらの法案の内容について、本年6月4日の衆議院憲法審査会において、与党推薦の参考人も含め憲法学者3名全員が明確に憲法違反と断じている。まさに憲法改正によらなければならない事項について、法律制定によって憲法改正手続を僭脱しようとするものであり、内閣や国会の権限について憲法で制限を設けた立憲主義にも反するものである。

憲法尊重擁護義務を負っている国会議員は、これらの憲法学者の意見に真摯に耳を傾けられ、このような憲法違反の法律案に絶対に賛同されないよう要請する。

当会は、このような憲法に違反し、立憲主義に反する法案に強く反対するとともに、その廃案を求めるものである。